八重巻 オーナー 竹内」重人
インタビュアー[右写真] : 松田直子/フリーレポーター
(福井県の民放番組等で活躍中)
取材: 2009.10.14 ホーコーズ様社内にて

松田直子/フリーレポーター

八重巻について
ーー 八重巻について教えてください。
竹内 地酒をメインに販売している酒屋です。
創業が明治23年で、おかげさまで来年で120周年を迎えます。
ーー 店舗は他にもあるのですか?
竹内 いえ、多店舗展開というのはしておりません。今後も無いでしょうね。
今あるお店を強くし、守っていきたいというのが理由です。
ーー このお店を継がれる前はどんなご職業だったのですか?
竹内 大学を卒業してからこの道一筋14年です。小学校の卒業文集にも「将来酒屋の3代目になりたい」と書いていたくらいですから。でもちゃんと聞いたら僕で4代目だったんですけどね(笑)
ーー 他のご職業をお考えにはならなかったのですか?
竹内 本当に店を継ごうと強く思ったのは実は大学で県外に行っていたときなんです。たまに実家に戻ったときに、お土産として大学の仲間に八重巻のお酒を持って帰ったらすごく喜ばれたんです。
「こんなお酒があったんだ」「美味しいな」ってみんなが喜んでいた姿を見て、やっぱり自分にはこの商売が向いているのかな~って。後は、うちの親父(先代)が楽しそうにお店を経営していたのもありましたね。いつも笑顔でお客さんと話しているのを見ていて、本当に楽しそうだなって。

八重巻酒店のこだわりとは
ーー 小さいころから酒屋さんになりたいと思っていた竹内さん。
当然お店やお酒についてのこだわりもあるんでしょうね。
竹内 一言で言うと「わがままな酒屋」です。
ーー 「わがまま」ですか。
竹内 「わがまま」という言葉だけ聞くと、すごく偉そうに思われてしまうのですが、
実はちゃんとした理由があるんです。うちの店は他の酒屋さん程商品が多くないんです。八重巻のこだわりは、代々飲み手となるお客様のこと、酒造りに対する真面目な姿勢、地酒の将来をしっかりと考えた蔵元さんとしかお付き合いしないことなんです。
僕自身、不器用で、一度にたくさんの事が出来ない人間ですので、ここの社長さんとは一生一緒に頑張っていきたいと『僕の方が心底ほれ込んだ』蔵元さんだけを取り扱っています。取り扱う蔵元が少ない分、わがままなお店と思われるかもしれませんが、美味しい日本酒という伝統文化を蔵元さんと一緒に皆さんに伝えていきたいんです。
ーー 日本酒は高いというイメージがあるのですが・・・
竹内 誤解です(笑)。うちのお客様の中にも最初は全然日本酒の事がわからないし、高そうだっておっしゃっていた方もいます。うちは「わがまま」だからと言って偉そうにするわけではなく、どんなお客様でも誠心誠意対応しております。もちろん商品によってお値段が高いものもありますが、初めての方にはわかりやすく日本酒の良さや、お客様にあった日本酒を薦めています。もちろん、もともと造詣が深い方にはもっとわかっていただけるように日々勉強しております。だから安心してご来店ください。
※店内に掲げられている「ワガママ宣言」。竹内さんの熱いメッセージが力強く書かれており、店内に入ってすぐ目につきます。
ワガママ宣言
物腰の柔らかい笑顔で温かく説明してくれる竹内さん。八重巻をご利用されている多くの方々が美味しい日本酒が好きな人、ご近所で家族ぐるみでご愛用していただいているとのお話を聞き、昔から愛され続けている理由がわかりました。

包装紙を作ったきっかけ
ーー どうして包装紙を作られたのですか?
竹内 やっぱりうちの大事な商品を包んで、お客様のもとへ届けるときの「顔」となるものですからね。既製品だと安っぽくなってしまいますし、うちのこだわりも伝わらないと思います。包装紙自体が決して利益を生むわけではなく、高い包装紙の場合はむしろ原価を圧迫するものになるので、経営という面ではあまりこだわる必要が無いかもしれませんが、こだわりは八重巻にとっての大事な部分だと思ってますので。あとは従来のデザインを変更したかったというのがあります。
ーー どのように変えたかったのですか?
竹内 もともと使っていた包装紙のデザインが幾何学的だったんですよ。でも僕が考えている八重巻のイメージは「こだわりを持ちながらお客様には優しくしたい」だったので、違和感を感じていました。
ーー 違和感を感じてすぐに包装紙印刷.comで新しく作ったのですか?
竹内 いえ、実はもともと使っていた包装紙は先代からお付き合いのある印刷会社さんでお願いしていましたので、デザインを変更して作りかえるならそちらにお願いしようと思っていました。長年のお付き合いもありますし、安心感もありますからね。
ーー ずっとお付き合いされていた印刷会社様にご依頼されなかった理由とは?
竹内 別に何か問題があったからというわけではないんです。実を言うと包装紙印刷.comの中尾社長とは高校1年からの付き合いなんですが、たまたまお店に遊びに来た時に、いつも使っていたうちの包装紙を見て、「良い紙使ってるね」「結構高い紙だよ」と言われたのがきっかけだったんです。
ーー 高い紙だとはご存知でしたか?
竹内 全く知りませんでした。「包装紙はこれぐらいするのかな~」って仕入価格を見て思っていたぐらいです。先代から使っていた包装紙でしたし、お付き合いしていた印刷会社様も特に説明されていなかったので。
ーー ここで中尾社長に質問です。中尾社長は一目で高い紙を使用されていると気付いたのですね。
中尾 はい。良い物を使っているなと。八重巻さんの商品はいいものが揃っているのは知っていたので、それに見合った包装紙を使っているんだなと感心しました。職業柄印刷物には自然と目が行ってしまいますので、あまり意識して言ったことではなかったんですが・・・。ただちょっと気がかりなことがあったので。
ーー 気がかりなことというのは?
中尾 私どものお客様にもよくいらっしゃったのですが、こういう良い商品を取り扱っているお店や会社では商品イメージにあった包装紙を作ろうとした際に、印刷会社から薦められた高級紙を疑問を抱かずそのまま採用されるケースがあるので、ランニングコストが結構かかってしまうんです。
竹内 そうなんです。実はうちも経費の見直しをしなければならないタイミングでしたし、中尾社長に言われて改めて気付いたところでしたね。
中尾 商品やお店のイメージを損なわず、コストを下げられれば包装紙を購入されるお客様に一番喜ばれると思ったので、竹内さんにもそのようにアドバイスしたんです。後は昔からの友達なので(笑)
竹内 もともとデザインを変えたいというのもあったので、そこからいろいろと相談に乗っていただきました。先代と違う自分のイメージもそろそろ発信したい時期でしたから。思い切って包装紙印刷.comさんでお願いしようと考えました。

どんな包装紙を作ったのか?
どんな包装紙を作ったのか?
ーー どのような包装紙を作ろうと考えたのですか?
竹内 従来が幾何学的で、どこか固くて冷たいイメージがあったので、今回は温かみのある、優しいデザインにしたいなと。自分の家の家紋を採用しようかと考えていたんですが、自分の考えているイメージと少し違っていたので、いろいろな模様を探していました。
そんなときに見つけたのが「江戸小紋」の「面の皮梅(つらのかわうめ)」という模様だったんです。
ーー 「江戸小紋」というのは何ですか?
竹内 江戸時代に全国の大名が着用した裃(かみしも)の模様づけが発祥と言われています。小紋には加賀小紋、京小紋などもあります。だんだん庶民にも流行りだし、お洒落な模様として愛されているものなんです。
※右上の画像が今回作製された八重巻さんの包装紙です。
八重巻さん包装紙
ーー 模様が顔に見えるのですが。
竹内 梅の花の中に笑顔が描かれています。「シンプルでいて、かわいく、親しまれやすい」感じがして、まさしく僕が求めていたイメージ通りだったんです。
八重巻のこだわりである商品への純粋な想いを伝えたい、お客さまにもっと日本酒を身近に感じて欲しいと常日頃考えている僕にとってはベストな模様ですね。

包装紙についてのこだわり、求めるもの
包装紙についてのこだわり、求めるもの
ーー 包装紙へのこだわりを教えてください
竹内 まずはデザイン。なんといってもうちの店の顔ですからね。そして色です。今回採用したのは紺色で、個人的に好きな色でしたし、上品なイメージもありますから。色に関しても相当こだわりがあったので、中尾社長にはいろいろ要望を伝えました。暗すぎず、明るすぎずとか。抽象的でしたけど(笑)やっぱりその二つがこだわりでもありましたし、譲れない条件でもありましたね。

注文〜完成までの流れ
ーー 注文するのに不安になりませんでしたか?
竹内 不安に感じたことは全くありませんでした。最初のデザインから相談に乗っていただいたのですが、電話やメール等で丁寧に僕の悩みに対して回答してくれました。今まで相当な数の包装紙を作製してこられたからこそアドバイスができるのだと思います。実を言うと、ひとつだけ気がかりな点が出来上がりの色だったんですね。今までであれば印刷物を注文した時に、色校正として見せていただいたものと、納品されたものの色が結構違っているときがありました。中尾社長に教えてもらったのですが、通常色校正として作るものはプリンターで出力しているものがほとんどで、実際の紙を使った校正は印刷会社自体が嫌がったり、お金がかかるのでお客様がお願いしなかったりしているのが現状らしいですね。
でも、包装紙印刷.comでは実際の機械、代表的な包装紙の3種類を使って校正サービスをしてくれると聞いたので、すごく安心しました。
ーー 実際に本機校正無料サービスをご利用されて、いかがでしたか?
竹内 こだわりの強かった色が、納品前にしっかりと確認できたのが何より安心しましたね。しかも3種類の包装紙で作っていただいたので、吟味して選ぶことができました。最終的にはシンプルでリーズナブルな「純白ロール紙」で作ることにしました。こだわりも大事ですけど経営者なのでコストの事もしっかり考えないといけませんし。だからといって安っぽくは見えないと思います。
ーー 納期はどうでしたか?
竹内 全く問題なかったですよ。以前使用していた包装紙がまだ少し残っているので、特に急いでは無かったんですが、意外と早くできあがったので、新しい包装紙に切り替えてしまおうと思ったぐらいですから。
ーー 完成した包装紙の第一印象を教えてください。
竹内 イメージどおりでした。気にしていた色も希望通りに仕上げてくれたので、本当に満足しています。しいて言えば、もう少し絵柄を大きくすればよかったかなと。控えめすぎたかもしれませんね(笑)
今回包装紙印刷.comで作製された八重巻さんの包装紙を持って撮影いたしました。右が竹内重人さん、左が中尾社長です。
竹内重人さん、中尾社長

包装紙印刷.com(ナカオ印刷)への評価は?
包装紙印刷.com(ナカオ印刷)への評価は?
ーー 総合的に見て、いかがでしたか?
竹内 悪い印象はありません。学生のころからの付き合いというのはありましたが、お互い経営者同士、しかも注文する側、注文を受ける側と立場が違う中でもしっかりとこちらの想いを汲んでくれたり、悩みを解決してくれました。お願いして良かったと思います。次回以降もお願いしたいと思っています。

中尾社長はどんな人?
ーー 中尾社長の印象は?
竹内 昔からのくされ縁なので、今更何も言えないのですが(笑)
でも同じ経営者として見た場合、「すごい勉強熱心だな」と思います。印刷の事に関しても、他のいろいろな面でも尊敬するべき点がいっぱいありますね。僕も負けないように勉強していきます。

今後の期待(ナカオ印刷へのメッセージ)
今後の期待(ナカオ印刷へのメッセージ)
ーー ナカオ印刷へのメッセージをお願いします。
竹内 希望通りの包装紙を作っていただき、ありがとうございました。欲を言えばデザインの部分で少し提案を頂きたかった部分がありました。僕のようにいろいろ包装紙や印刷物で悩んでいる人はたくさんいらっしゃると思いますので、そういった方達の良きアドバイザーになっていただければと思います。八重巻としては、今後もいろいろと相談に乗っていただきたいと思っていますので宜しくお願いします。
中尾 ご意見ありがとうございます。当社は長年印刷技術を研鑚してまいりました。デザイナーではないのであまり良い意見をアドバイスはできないかもしれませんが、今後の課題として取り組んでまいります。こちらこそこれからも宜しくお願いします。

八重巻酒店の今後の抱負
ーー 最後に、八重巻の今後の抱負を教えてください。
竹内 日本酒に親しみを持ってもらえるように、身近なものとして認知して欲しいですね。特に、今の若い方たちにわかっていただくとすごくうれしいです。僕の気持ち、八重巻と蔵元の地酒に対するまっすぐな思いが包装紙を通じてわかってもらえたらもっと嬉しいですね。
ーー 八重巻様、本日はお忙しい中貴重なお話ありがとうございました。
右は八重巻様の看板。素材は竹内さんの祖母が使われていた貼り板とか。
質素ですが力強さもあり、歴史も感じます。
や絵巻様看板
店名:八重巻酒店
業種:酒・贈答品の販売 (地酒をメインに販売)

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